60~70年代洋楽
回想 チープトリック in 駿府会館

今週もいつもと変わらない週末。
記事にしてもつまらないので、70年代洋楽の話をしよう。
ライブ回想第三弾は「チープ・トリック(CheepTrick)」。
読者の皆さんは「チープ・トリック」をご存知だろうか。
1980年前後に活躍したアメリカのロックバンドで、日本公演がきっかけで世界中に知られるバンドになった。
1977年のセカンドアルバム「In Color」で注目され、「甘い罠」「今夜は帰さない」など、ヘビーでポップなサウンドがよくラジオから流れていた。とはいっても当時はまだ知名度は低かった。
そんなチープトリックが日本にやってきた。
1978年5月1日。場所は駿府公園の一角「駿府会館」。
この会場にはベンチャーズ、マイルス・デイビスや吉田拓郎のライブの思い出が詰まっているが、この年の11月に取り壊された。
仕事を終え、電車で会場に急行。6時30分、座席に着くと間もなくチープトリックの4人がステージに現れ、演奏が始まった。

チープトリック「甘い罠」のシングル盤ジャケット
オープニングは「ハロー・ゼア」続いて「カモン・カモン」、「ビッグ・アイズ」とセカンドアルバムからの曲が続く。
それにしてもこの異様な熱気はどうだろう。隣りの女の子は早くも興奮状態。
ボーカルのロビン・ザンダーとベースのトム・ピーターソンのイケメン組に声援が集中していたが、私の注目はギターのリック・ニールセン。野球帽を被りコミカルなパフォーマンスで凄まじいプレイを展開。さらにドラムスのバン・E・カルロスは、どこのオジさんかと見紛うようなミュージシャン離れした佇まい。最初から最後まで咥え煙草のまま叩き続けた。
ライブは佳境に入り「エイント・ザット・ア・シェイム」、「甘い罠」では観客全体が大合唱。さらに「サレンダー」が続き、ラストの「サヨナラ・グッバイ」で会場は興奮の坩堝と化した。
アンコールはもちろん「今夜は帰さない」。エンディングでバン・E・カルロスは、スティックを角材に持ち替えて叩きまくっていた。
米英では無名のバンドが日本で大ウケしている現実を目の当たりにして、私は驚きと喜びで、女の子たちと一緒になって声援を送っていた。
チープ・トリックの武道館公演の模様はレコード化され、アメリカで大ヒット。彼らは一躍トップグループに名乗りをあげた。
CD化された2枚組のコンプリート版を聴くと、あの時の興奮が今でも鮮やかによみがえる。