60~70年代洋楽
「ボクサー」

4日のUHU「カバーグランプリ」で、ワコ企画の皆さんと一緒に歌わせていただいた「サイモン&ガーファンクル」(以下S&G)の「ボクサー」。
S&Gは以前「アイ・アム・ア・ロック」「アメリカ」などを記事にしたことがあったが、
私のS&Gベスト3といえば
第1位「アメリカ」
第2位「ボクサー」
第3位「59番街橋の歌」
今日はその「ボクサー」への思いを記していこう。

セントラルパーク・コンサートのS&G
「ボクサー(The Boxer)」 詩・曲 ポール・サイモン
僕は貧乏で哀れな少年
身の上話など滅多にしないが
僕は約束だとか冗談とか
ポケット一杯に詰め込んだ 戯言のために
反抗精神を無駄使いしてしまった
それでも人は 都合のいい事だけは聞いて
あとはまるっきり 知らん顔なんだ
故郷で家族も捨てた時
僕はまだ ほんの子供だった
停車場の静けさの中で 恐怖に怯えていた
すっかりへこたれて
みすぼらしい人々が住む
彼らだけにしか分からない場所を求めて
嘘、嘘、嘘、嘘、嘘、嘘
職工の賃金でいいからと
僕は仕事を探したけれど
職にありつくことはなかった
7番街にたむろする娼婦たちが
声をかけてくるだけだった
だけど白状すると ひどく寂しい時は
けっこう慰めになったものだ
嘘、嘘、嘘、嘘、嘘、嘘
僕は冬服を広げながら
思わず 家に帰りたくなった
ニューヨークシティの冬は
身を切るような寒さはないけど
あの懐かしい故郷へ帰りたい
開拓地にひとり立つボクサー
彼の職業は 戦士
怒りと恥辱のさ中で彼は
試合を止めるか 泣き出してしまうまで
打ち出されるグラブの あらゆる一撃の
警告を忘れはしなかった
俺はやめるぞ もうまっぴらだ!
だけど その戦士は今も
そこに残って 戦い続けている
嘘、嘘、嘘、嘘、嘘、嘘
ライ ラ ライ ライ ラ ライ ラ ライ ラ ライ・・・
この力作を初めて聴いたのは、高校3年の頃だった。
ポール・サイモンの意表を突くイントロで始まり、彼の体験談が綴られていく。
間奏のバイオリンの何んと透明で美しい響き・・・。
腹の底に響く音楽のパンチを受け、嘘!嘘!と繰り返す心の叫び。
深夜にこの曲を聴いた時、彼の孤独がしみじみと浸みた。
S&Gはビートルズと並んで大好きなユニットで、以前はレコード(2枚組ベスト盤)を良く聴いていた。彼らのハーモニーは勿論だが、ちょっと屈折したP.サイモンの詩に大いに共感した。
しかしここ20年ほどは殆んど聴くことが無かった。それが1年位前、突然彼らの全てを聴きたくなり、「水曜の朝午前3時」から「明日に架ける橋」までの5枚分のCDを購入した。
「ボクサー」「アメリカ」「アイ・アム・ア・ロック」を始め、お気に入りの曲を80分のCDにダビングして、ドライブ中に楽しんでいる今日この頃である。